
迦さんの周りにはいわゆる執金剛神という、金剛杵を持ってお釈迦さんを守る、仏教を守る執金剛神、英語でヴァシュラパニーと言っておりますが、これがあるのですけれども、そのヴァシュラパニーのもとがどうもヘラクレス、棍棒を持ったヘラクレスの像であるということが、このハッダの彫刻を見て初めてわかった次第です。
最後にバーミヤーンの石窟寺院をご紹介いたします。バーミヤーンの石窟寺院というのはヒンズークシ山脈の真ん中にありまして、約1,000に近い石窟が岩山の南の崖面に並んでいるのですけれども、そこには有名な2つの大きな仏立像があります。一つは高さが37メートル、それから西のほうは55メートルある大仏様です。それからそり周りにたくさんの石窟があって、その中には壁画が描かれています。私たちはそのバーミヤーンの石窟の写真測量をいたしまして、その壁画の調査を十分行いました。ところが、それが次の年に行ってみますと、去年あったその壁画がもう剥落してなくなっているということをしばしば体験いたしました。それで前の年に撮った写真がもうあれしか残っていないのだというようなことを痛感したわけです。だから何とか早く保存しないと、修理をしないと、これは自然にも傷んでくるなということを痛感したのです。
ところがそのバーミヤーンが今度の内戦の中で、無事であるのかどうか大変気がかりです。ああいう石窟寺院というのは武器や弾薬を入れる場所にも非常に適しておりますし、それからまた実際の戦争にたづさわっている人たちが石窟の中に入って憩うためには絶好の場所ですので、そういう風に使われるということも聞いております。ただ、その後バーミヤーンヘ行った日本のカメラマンの写真を見ますと、幸いに55メートルの大仏の窟の壁画などはまだ残っているようです。しかし下のほうにある小さな石窟などは今どうなっているのか、私は非常に心配をして危惧しているところでございます。
そういったことをご紹介して、とにかく皆様方にもぜひ、これは恐らく観光事業の一番の資源になるものなのです。そういうものが今崩壊に瀕しているということに対しての認識と、保存運動についての強い関心と、そして積極的なご助力をしていただけたら幸いと思います。
それでは後はひとつスライドをお見せして、今私が説明したものを実際にご紹介したいと思います。スライドお願いいたします。
このアフガニスタンという国は皆様もよくご存じのように、とにかく周りが全部ほかの国に囲まれ、海というものがございません。鉄道もありません。この国に行くのには飛行機で行くか、あるいは車で入っていく。カーブルというここが首府でございまして、私たちはパキスタンのカラチに荷物を揚げて、そして陸路でカイバル峠を通って入っておりました。ところが今は飛行機で、あるいはタシケントから、あるいはニューデリーから入るというふうな方法しかないわけです。
ここにパミール高原という、いわゆるシルクロードの一番中心の高い高原がございまして、これから例えばヒマラヤ山脈とか、いろいろな高い山が出ておりますが、アフガンにはヒンズークシ山脈というものが出てきております。これによって北側と南側という大きな違いが出てくる。それでバクトリアというのは、ここにオクサス川がこの国境を流れております。アムダリア川。それからここがバルフ、バクトリアという名前の付いているところです。先ほど申しましたティリヤ・テペというのはこの上流に近いところ、この辺のところにございます。それからアイ・ハヌムというのはこちらにございます。それからティリヤ・テペというのはこのバルフのもう少し、西のシバルガンがここにございますから、この辺にございます。それからバーミヤーンはヒンズークシ山脈の中にあります。それからベグラムはヒンズークシ山脈の南側にあります。それからハッダというのはカイバル峠に近いこの辺に位置しています。アフガニスタンの遺跡はまだたくさんございますけれども、代表的なものではそういうものがありま
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